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 あめつちのはじめのとき


 言霊学(コトタマのマナビ)は遥か大昔より日本に伝わる、人間の心と言葉に関する一切を解明した学問です。昔これを布斗麻邇(フトマニ)と呼びました。

 この学問は訳あって今から二千年程前、崇神天皇によって世の人の表面意識から隠没させられ、約百年前、明治の時代になってその復活の運動が始められました。

 当言霊の会は二十数年前、諸先輩の復活の事業を受継ぎ、今年(二○○八年)になって、漸くこの学問の理論的解明と人間の心の動きに基づく確認によって、完全な復活を実現することが出来ました。人類の心の真理が二千年の闇を越えて今不死鳥の如くこの世に姿を現わしました。

 言霊の学問をその隠没から解明への研究を可能とさせる唯一の拠り所であり、教科書となるのは日本で最古の本とされる古事記(記)と日本書紀(紀)の神話です。

 こう申し上げますと、記紀の神話を少しでもお読みになった方は当然次のような疑問を持つことでしょう。「あの訳の分からない神様の名前が果てしなくズラズラと現れてくる文章から体系的な学問など現われて来る筈がない……。」

 これは当然のことです。そして“当然”と人が思われる根拠が古事記の神話の最初の文章、「天地の初発の時、高天の原に成りませる神の名は、天の御中主の神、(あめつちのはじめのとき、たかあまのはらになりませるかみのみなは、あめのみなかぬしのかみ)……」でありましょう。

 現代人は誰でも「天地(あめつち)」と聞けば、天と地、この地球を含めた宇宙全体のことと思うに違いありません。ですから、その地球生成の現代科学が教える四十五億年前だという事実を知る由もない私たち先祖の文章は、昔の人特有の大らかな感性によるおとぎ話だととるのが当たり前かも知れません。

 けれど大昔の私達の祖先の心の中を見る目は、私達が想像もつかない程素晴らしいものがありました。「古事記」が言う最初の言葉、「天地の初発の時、……」とは私達が考える「外界宇宙の中にこの地球が生まれる時」なのではなく、「心の宇宙の中に何か人の考えが生まれ出ようとする時」ということなのです。

 昔は理論的な考え方の概念としての言葉がありませんでした。そのために「心の宇宙」という代わりに「天地」という言葉を当てたのです。そしてその宇宙の中に何かの出来事が起ころうとする時のことを「天地の初発の時」と表現したのです。

 以上のことに気が付きますと、記紀の神話の文章とその中に次々に出て来る神様の名前が示す内容が私達人間の生きた心の構造とその内容の全部が掌(て)にとるように語られていることが理解されて来ます。

 理解が深まる毎に神話の一字一句一行が、忽(ゆるが)せに、出来ない心と言葉の真実を語っているのだと気付くことになります。

 当言霊の会は、諸先輩の労作を受継ぎ、二十年にわたり神話で示す心と言葉の真実の把握のために研究し、解明の結果と毎月一回の会報にて皆様に報告して来ました。今年(二○○八年)四月、古事記、日本書紀の神話が伝えるアイウエオ五十音言霊布斗麻邇の原理のすべての解明を完了いたしました。

 日本人にとって、また世界の人々にとりましても、素晴らしい出来事と思い、その実践にめぐり合った自分の仕合せを思います。またこの上ない学問と後世の私達に遺して下さった日本人の祖先の皆様に感謝し、この成果を現代の人々にお伝えしたいと考えております。

 お読み下さる文章の内容に少しでもご不審がありましたら御遠慮なく御質問下さい。但し、論争はいたしません。当「言霊の会」は宗教団体でも思想団体でもありません。単純な学問の研究団体であります。お頒する本代(制作実費)以外一切無料です。

 前書を終えましたので、これより今日迄の言霊学をアットランダムに発信いたします。ご愛読下されば幸甚であります。